せっかく導入した生産設備が、思ったよりも早く不調を起こしたり、突然停止してラインが止まってしまったりした経験はありませんか。設備は導入して終わりではなく、その後どう維持していくかによって、長く安定して使えるかどうかが大きく変わります。
結論から言うと、生産設備を長く使うためには、導入前の段階から保守を見据えた体制づくりを考えておくことが重要です。設備が壊れてから対応する「事後保全」だけに頼っていると、突発的な停止による損失を防ぎにくくなります。
この記事では、保守体制の基本的な考え方から、オーダーメイド設備ならではの注意点、体制を見直す際のチェックポイントまで、順を追って解説します。設備投資を検討している方だけでなく、既存設備の保守に課題を感じている方にも参考にしていただける内容です。
生産設備の保守が経営課題である理由
生産設備の保守は、単なる現場の作業ではなく、経営に直結する課題だと考えられます。設備が止まれば生産計画そのものが崩れ、納期や品質にも影響が及ぶためです。
稼働停止が招く損失
突発的な設備停止が起きると、修理対応に時間がかかるだけでなく、その間の生産機会そのものを失うことになります。特に多品種を扱うラインでは、代替の生産手段を用意しにくく、影響が長引く場合もあります。
たとえば、部品の供給待ちで数日間ラインが止まってしまうと、下流工程や納品先にも遅れが波及することがあります。保守体制が整っていれば、こうした事態をあらかじめ防ぎやすくなります。
人手不足と保守の関係
求人難や離職による人手不足が進む中、限られた人員で設備を維持していかなければならない工場が増えています。保守を特定の担当者の経験だけに頼っていると、その方が離職した際に対応できる人がいなくなるという事態にもつながりかねません。
保守体制を仕組みとして整えることは、人手不足の時代における工場の生産性を守るためにも欠かせない視点です。
保守体制の基本的な考え方
保守には大きく分けて「予防保全」と「事後保全」という2つの考え方があります。どちらが優れているというより、設備の重要度や特性に応じて使い分けることが基本です。
予防保全と事後保全の違い
| 方式 | 考え方 | 向いている設備の例 |
|---|---|---|
| 予防保全 | 故障する前に定期的に点検・部品交換を行う | ライン全体に影響する基幹設備 |
| 事後保全 | 故障してから修理・対応を行う | 停止しても代替が利きやすい補助設備 |
基幹となる設備ほど予防保全の比重を高め、影響範囲が限られる設備は事後保全でも対応できる場合があります。すべてを一律に扱うのではなく、設備ごとの優先度を見極めることが大切です。
保守計画を立てる手順
保守体制を新たに整える際は、次のような手順で進めると検討しやすくなります。
- 保有している設備をリストアップし、重要度を分類する
- それぞれの設備の点検頻度や交換部品の目安を確認する
- 点検・記録・修理依頼までの流れを担当者ベースで整理する
- 記録を残す仕組み(帳票やシステム)を用意する
- 定期的に体制自体を見直すタイミングを決めておく
オーダーメイド設備ならではの保守のポイント
汎用設備とオーダーメイド設備では、保守の考え方にも違いがあります。オーダーメイド設備は現場の工程に合わせて設計されているため、保守の面でも独自の視点が必要になります。
汎用設備との違い
汎用設備であれば市販の部品や一般的な点検マニュアルが用意されていることが多く、代替手段も見つけやすい傾向があります。一方でオーダーメイド設備は、その工場の生産ラインに合わせて設計・製作されているため、部品の入手や仕様の把握が独自の対応になりやすいという特徴があります。
だからこそ、導入時に設計図面や仕様書、点検すべき箇所をきちんと共有してもらうことが、その後の保守のしやすさに直結します。
設計段階からの保守性の作り込み
保守のしやすさは、完成した設備を見てから考えるものではなく、設計の段階からある程度作り込んでおくべき要素です。点検口の位置や交換しやすい部品配置など、日常のメンテナンスを想定した設計になっているかどうかを、導入前に確認しておくと安心です。
- 点検・清掃がしやすい構造になっているか
- 消耗しやすい部品が交換しやすい位置にあるか
- 異常時に原因を特定しやすい仕組みがあるか
保守体制づくりで注意したいこと
保守体制を整える際には、いくつか注意しておきたい落とし穴があります。仕組みを作ったつもりでも、運用の中で形骸化してしまうケースは少なくありません。
属人化のリスク
特定の担当者だけが設備の癖や不具合の傾向を把握している状態は、一見効率的に見えても、その方が不在になった途端に対応できなくなるリスクを抱えています。マニュアル化や複数名での共有を意識することが望ましいと考えられます。
記録の重要性
点検や修理の記録を残さないままでいると、同じ不具合が繰り返し起きていることに気づけない場合があります。記録を蓄積していくことで、どの部品がどのくらいの周期で不調を起こしやすいかが見えてきます。
- 口頭での引き継ぎだけに頼らない
- 記録の形式を統一し、誰でも見返せるようにする
- 記録を次の設備更新の判断材料としても活用する
保守体制を見直すチェックポイント
最後に、現在の保守体制を見直す際に確認しておきたい項目をまとめます。当てはまらない項目が多いほど、体制の見直しを検討する余地があるといえます。
- 設備ごとの点検頻度が明確になっている
- 点検・修理の記録が残されている
- 特定の担当者以外でも一次対応ができる
- 消耗部品の交換時期を把握できている
- 保守にかかる費用や時間を定期的に振り返っている
これらの項目を一つずつ確認していくことで、今の保守体制に足りない部分が見えてきます。すべてを一度に整えようとせず、優先度の高いところから着手していくとよいでしょう。
まとめ
生産設備を長く安定して使うためには、導入前の段階から保守を見据えた設計や体制づくりを意識することが大切です。予防保全と事後保全を使い分け、記録を残しながら属人化を防ぐ仕組みを整えることが、人手不足の時代においても工場の生産性を守ることにつながります。
当社は栃木県足利市を拠点に、産業用ロボットを活用したオーダーメイドの生産設備の設計・製作に取り組んでおり、各工場の状況に合わせた設備提案を行っています。栃木県足利市周辺に限らず、生産設備の導入や保守体制について気になることがございましたら、お気軽にご相談ください。

